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※この文章は8.04の新機能を日本語に翻訳したものです。
Ubuntu 8.04について
Ubuntuチームは、オープンソースコミュニティによって作成された最新の素晴らしいソフトウェアをUbuntu 8.04 LTSとして提供できることを嬉しく思います。
Ubuntu 6.06 LTSと7.10からのアップグレード
Ubuntu 7.10やUbuntu 6.06 LTSからアップグレードする場合は、こちらの手順を参考に行ってください。
Ubuntu 8.04の新機能
システムに関する変更点
GNOME 2.22
Ubuntu 8.04 LTSでは、バックエンドとして高速で信頼性の高いGVFSを採用した新しいNautilusファイルマネージャのように、さまざまな新機能の導入と改善が行われた最新のGNOME 2.22.1を採用しています。その他の新機能としては、リムーバブルメディアを挿入した時に可能な動作の一覧表示、世界中の時刻や天気を表示できる世界時計、新しいSeahorseキーリングマネージャ、EvolutionにおけるGoogle Calendarのサポートなどがあります。
Linuxカーネル 2.6.24
Linuxカーネルは、2.6.24.3をベースにした2.6.24-12.13になります。ここ数ヶ月でメインラインにマージされたさまざまな機能や修正が取り込まれています:
- dyntickがamd64にも対応するようになりました。これにより、64ビットマシンでも、32ビットマシンと同等の省電力機能を使えます。
- 2.6.23から導入された新しいプロセススケジューラである"Completely Fair Scheduler(CFS)"により、パフォーマンスが向上しています。
PolicyKit
より便利で安全に管理者権限を取得するインターフェースとして、PolicyKitが導入されました。PolicyKitを使うことで、管理アプリケーションを一般ユーザとして起動し、管理者権限が必要な操作を行う場合にのみ、権限を動的に取得するといった細かな操作が可能になります。
Ubuntu 8.04でPolicyKitを利用するアプリケーションには、システム/システム管理の“ネットワーク”、“ユーザとグループ”、“サービスの管理”、“日付と時刻の設定”や、パネルにある時計アプレットの認証、gnome-mountやHALのようなデバイスや電源管理に関する設定などがあります。すべての権限については、システム/システム管理/権限の管理で設定できます。またこの設定画面自身もPolicyKitを利用します。
PulseAudio
このリリースから、PulseAudioサウンドサーバが標準で有効になりました。これにより、複数のアプリケーションから出力される音声データを重ね合わせて出力することや、特定のサウンドカードを個々のアプリケーションに割り当てたり、アプリケーションごとに音量を調節する、他のコンピュータに音声データを転送する、サンプリングの設定やチャンネル数を変更するといったことが可能になります。
Xorg 7.3
Xorgは最新版である7.3を利用しています。重要な変更点として、最小の設定ファイルから自動設定を行う機能が強化されがことが挙げられます。画面解像度設定ツールが新しくなり、解像度やリフレッシュレート、セカンドモニタの回転などを再起動なしに行えるようになっています。これは、プロジェクタや外部モニタを接続するラップトップユーザにとってとりわけ便利になるでしょう。
新しいソフトウェア
Firefox 3 Beta 5
Firefox 3 Beta 5がデフォルトのブラウザとなりました。GTK2のフォームボタンや印刷ダイアログ、ファイル選択ダイアログや画像プレビュー、アイコンテーマを利用するなど、よりUbuntuのデスクトップ環境と統合したインターフェースとなっています。
Brasero
CD/DVD書き込みアプリケーションとしてBraseroが採用されました。これはNautilusに備わっているCD/DVD書き込み機能を補完するものです。これまでインストールされていたSerpentine オーディオ CD クリエータに代わって、初期状態から利用可能です。
Transmission
デフォルトのBitTorrentクライアントとして、TransmissionのGTK版が採用されました。これは従来のGnome BitTorrentダウンローダに置き換わります。
世界時計
時計アプレットが世界時計となり、世界中のさまざまな地域の時刻と天気を表示できるようになりました。
簡単なファイアーウォール
コマンドラインから設定可能なファイアーウォールアプリケーションである、ufw(Uncomplicated Firewall)が導入されました。ネットワーク管理者の手を煩わせたくないユーザが、自分のマシンに簡単にファイアーウォールを構成できるように設計されています。
Vinagre
リモートデスクトップ(VNC)クライアントとして、新しいVinagreが採用されました。これは既存のxvnc4viewerに代わって、デフォルトでインストールされます。
Vinagreでは複数のマシンへの同時アクセスやタブを使った表示が可能になり、Avahiを利用してネットワーク上のVNCサーバを検索、最近使われた接続やよく使われる接続の保存などができるようになります。
Totem
Totem動画プレイヤーに、YouTubeの動画を検索・再生できるYouTubeプラグインやTrackerを使ってローカルにある動画を検索する検索プラグイン、ヨーロッパのデジタルTV放送に採用されているDVBのサポートなどが導入されました。
Inkscape
Universeリポジトリからインストール可能なInkscapeはバージョン0.46からPDFをネイティブにサポートします。これにより、PDFドキュメントのテキストや画像を編集できる、簡単かつオープンソースなアプリケーションを提供できるようになりました。これでユーザはチラシやポスター、その他の文書などを作成し、InkscapeでPDF(や通常のSVG)として保存し、印刷会社へ提出するという作業工程を、Ubuntuのソフトウェアのみを使って行えます。
その他の改善点
ActiveDirectory
Likewise Openが、Universeリポジトリから利用できるようになり、Active Directoryネットワーク内のUbuntuをシームレスに統合できます。これにより、ADのクレデンシャルを使ってUbuntuにログオンしたり、UbuntuサーバでKerberos化されたサービスを提供することができるようになります。
iSCSIのサポート
UbuntuサーバのインストーラにiSCSIイニシエータが組み込まれました。Ubuntu本体にはiSCSIイニシエータはすでに組み込まれており、これまでもiSCSIターゲットをブロックデバイスとしてマウントすることが可能でしたが、Ubuntuサーバのインストーラからも、"iscsi=true"というカーネルオプションを与えることで認識できるようになりました。
メモリの保護
/dev/memや/dev/kmemをデバイスメモリへのアクセスにのみ使われるように、アクセスチェックがさらに追加されました。これにより、RootKitや危険なコードなどからシステムを保護しやすくなります。
また、システムメモリの64Kバイト以下はデフォルトではアドレスの割り当てがされなくなりました。これで、セキュリティ脆弱性を含むカーネルのバグを悪用した攻撃を試みるコードからシステムを保護しやすくなります。
Position Independent Executable(PIE)としてコンパイルされたアプリケーションについては、メモリ内の配置を予測不可能な状態にし、セキュリティ脆弱性を悪用し難くします。
SELinuxのサポート
AppArmorのサポートに加えて、Ubuntu 8.04 LTSではUniverseリポジトリにてSELinuxも提供しています。SELinuxを使うことで、カーネルにより柔軟に設定できる強制アクセス制御の機能を提供し、システムのセキュリティを強化します。"selinux"パッケージをインストールすれば、多くのシステムプロセスに対するセキュリティポリシーをインストールできます。
umenu
WinFOSSやWindows open source softwareはumenuに置き換わりました。これは、WindowsからWubiを使ってUbuntuをインストールしたり、CD-ROMをブートデバイスとして設定することなくLive CDとして再起動させたり、www.ubuntu.comにアクセスしてUbuntuについての情報を得る、などといったことを簡単に行うためのランチャとなっています。
仮想化技術
UbuntuのLinuxカーネルでも仮想化オプションの一つとして正式にKVMをメンテナンスする事になり、libvirtとvirt-managerもUbuntuに導入されました。これらを使えば、簡単にゲストマシンを作成し、仮想マシンを管理できます。virt-managerは、リモートサーバ上のゲストマシンの管理にも使えます。
また、virtioの導入により、ゲストマシンのI/Oパフォーマンスが劇的に改善しています。
Wubi
Windowsユーザ向けの新しいインストールオプションが使えるようになりました。Wubiを使うと、他のWindowsアプリケーションと同じような方法でUbuntuをインストールしたりアンインストールすることができます。これを使えば、パーティションの分割やブートローダの設定を行う必要がなくなり、普通のインストールでデュアルブート設定にしたときとほぼ同等の機能を体験できます。Wubiは物理CDを使うだけでなく、インストールを行うために適切なISOをダウンロードすることでスタンドアローンモードとしても機能します。CDにあるWubi.exeを実行すれば利用可能です。Ubuntuを利用する場合、パーティションの分割が必要な通常のインストールを推奨しますが、ディスクリソースに修正を加える前にUbuntuを数日か数週間ぐらい試してみたいなら、Wubiはとても良い方法でしょう。
relatime
パフォーマンスを改善するために、ファイルシステムはrelatimeオプション付きでマウントされるようになりました。この機能に関する詳しい情報は、kerneltrap.orgを参照してください。
LTSP
Alternate CDでも、インストール時にLTSPターミナルサーバオプションを利用できるようになりました。この機能に関する詳しいことはLTSPQuickInstallを参照してください。
ダウンロード
Ubuntu 8.04 LTSのISOイメージやtorrentファイルをダウンロードするためには、ダウンロードのページに訪れてください。その他の方法についてはこちらのページをご覧ください。
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