対象とするUbuntuのバージョン
- Ubuntu 11.04
※以下はUbuntu 11.04リリース時点での情報です。発売中の「Ubuntu Magazine vol.6」に、11.10のUnityについての詳しい解説が掲載されています。
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Unityとは
Unityは、Ubuntu 11.04から全面的にデスクトップ環境でも採用されるようになった、新しいデスクトップインターフェース(GUIシェル)です。
注:Unityは、Ubuntu 10.10でNetbook環境向けのデスクトップインターフェースとして開発が開始されました。10.10のUnityをチューニングし、一般的なデスクトップ環境にも利用できるように改良したのがUbuntu 11.04でのUnityです。
Unityの動作要件
UnityはCompizベースのソフトウェアであるため、3Dアクセラレーションが動作するグラフィックハードウェアとドライバを必要とします。このため古いハードウェアで構成されたPCや、一部のドライバ(3Dアクセラレーションをサポートしていないもの)を使っていると、Unityが動作しないかもしれません。以下のコマンドで、そのPCがUnityをサポートしているかどうかを確認することができます。
$ /usr/lib/nux/unity_support_test -p OpenGL vendor string: Tungsten Graphics, Inc OpenGL renderer string: Mesa DRI Intel(R) Ironlake Mobile OpenGL version string: 2.1 Mesa 7.10.2 Not software rendered: yes Not blacklisted: yes GLX fbconfig: yes GLX texture from pixmap: yes GL npot or rect textures: yes GL vertex program: yes GL fragment program: yes GL vertex buffer object: yes GL framebuffer object: yes GL version is 1.4+: yes Unity supported: yes
最後に表示される「Unity supported:」欄に「yes」と表示されていれば、そのPCはUnityに対応しています。
Unityの開発チームでは、Dell Mini 9をはじめとするIntel/AMD/NVidiaのそれぞれのグラフィックチップを搭載したマシンで動作確認を行っています。具体的なテストマシンについては、 こちらのページを参照してください。
Unityが動作しない場合
UnityをサポートしていないハードウェアでUbuntuを起動した場合、「Unityを動作させるために要求されるハードウェアがないようです。ログイン画面でUbuntu Classicを選択し、以前のインターフェースをお使いください。」という英文ダイアログが表示され、"Ubuntu Classic"デスクトップに切り替わります。
ハードウェアではなくドライバの問題であれば、「システム>システム設定>追加のドライバ」で別のグラフィックドライバをインストールすることで、動作するかもしれません。
Ubuntu Classic
"Ubuntu Classic"は、Ubuntu 10.10までのUbuntuと同様のインターフェースを持ったデスクトップ環境です。Ubuntu 11.04ではUnityが動作しないマシンでは、(以下で述べるUnity 2Dではなく)これを利用することが推奨されています。ログイン画面でユーザー名を入力したあと、画面下部にある"Unity"を"Ubuntu Classic"に変更することで、次回ログイン時からは自動的にUbuntu Classicが使われるようになります。
Unityが動作する環境でも使用できますので、Unityのインターフェースに慣れない場合に、Ubuntu Classicを使うといった対応も可能です。ただし、Ubuntu Classicは2011年10月以降のリリースでは廃止される予定です。
Unity 2D
3Dアクセラレーションが動作しない環境でもUnityを使えるように、Qtをベースにした2D版のUnityである"Unity 2D"が開発中です。Ubuntu 11.04には標準ではインストールされていません。ソフトウェアセンターから"unity-2d"で検索し、"Unity interface for non-accelerated graphics card"をインストールすることで利用できます(検索結果に一緒に表示される、Unity 2D〜なんとか〜は自動的にインストールされます)。あとは、ログイン画面で、Unityの代わりにUnity 2Dを指定することで動作します。
Unity 2Dは、次のリリースから3D版Unityが使えない環境での標準インターフェースになる予定です。
Unityの基本インターフェース
各部の名称
Unityはこれまでのインターフェースと違うため、説明のためにまずは各部の名称を図示します。なお、操作において「Superキー」という単語が出てきますが、これはWindowsマシンにおいては「Windowsキー」、Macにおいては「Commandキー」が該当します。
- Launcher(ランチャー)
Launcherは、「起動中のアプリケーション」や「よく使うアプリケーション」のショートカットアイコンを表示する領域です。全画面表示になっているアプリケーションが存在する場合は自動的に隠れるようになっています。「隠れた」Launcherを表示させるには、マウスカーソルを画面左端に持ってくるかSuperキー長押し・Alt+F1キーの組み合わせで表示できます。また、Superキーを長押しした場合は、各アイテムの上にショートカットに該当する英数字が表示されます。Superキーと一緒に押すことで、各アイテムを起動できます(例えばSuperキーを押しながらaを押せばアプリケーション検索画面が開きます)。
- Workspace(ワークスペース)
Ubuntu 10.10まで画面下部のパネルにあった「ワークスペースの切替」は、Launcherアイテムの一つとなりました。このアイテムをクリックするかSuper+Sと入力すると、ワークスペースの一覧が表示されます。適当なワークスペースをダブルクリックすることで、そのワークスペースを表示できます。なおワークスペースリスト表示中であれば、ウィンドウをドラッグアンドドロップすることで、ワークスペース間の移動もできます。
- Application Menu(アプリケーションメニュー)
- Application Menuはこれまでウィンドウタイトルの下部にあった、「ファイル(F)」や「編集(E)」などのアプリケーションメニューを表示する領域です。個々のアプリケーションごとにメニュー表示するのではなく、現在アクティブなアプリケーションのメニューのみをこの領域に表示するようになりました。通常はウィンドウタイトルのみが表示されていますが、マウスカーソルをここに持っていくことで、アプリケーションメニューが表示されます。なお、ウィンドウを最大化した場合は、「閉じる」ボタンなどもこの領域に表示されます。
- Indicator(インディケーター)
IndicatorはWindowsでいうシステムトレイと同じように、システムやアプリケーションの情報を通知する領域です。Unityとは独立して開発が始まっていたため、既に11.04以前に一通りの機能の実装は完了していました。
- Dash(ダッシュ)
画面左上のUbuntuロゴをクリックするかSuperキーを軽くタップすることで、Dashと呼ばれる検索画面が表示されます。これは、画面上部の入力ウィンドウに任意の語句を入力することで、アプリケーションやファイルを柔軟に検索してくれるインターフェースです(インストールされていないアプリケーションすら検索可能です)。Super+AやSuper+Fで起動できるアプリケーションやファイルの検索画面はこのDashのサブセットになっています。ただし、バージョン3.8.8の時点では、日本語入力に対応していません(LP: #663776)。
アプリケーションを起動する
Unity環境でのアプリケーションの起動は、いくつかの方法があります。
Launcherアイテムをクリックする
Launcherに登録済みであれば、そのアイテムをクリックするだけでアプリケーションを起動できます。初期状態だとファイルブラウザ、Firefox、LibreOffice、Ubuntu Oneが登録されています。すでに起動しているアプリケーションを、何らかの理由で新規に(多重に)起動したい場合は、アイテムをマウスの中ボタン(もしくはホイールボタン)でクリックしてください。
DashのApplication Placeから検索&起動する
Dashの検索ウィンドウにアプリケーション名やコマンドを入力すると、該当するアプリケーションやファイルを検索してくれます。また、Super+Aを押して表示されるApplication Placeであれば、アプリケーションだけを対象に検索できます。以前のUbuntuのように、「アクセサリ」や「マルチメディア」などのカテゴリで絞り込みたい場合は、検索ボックス右端の「すべてのアプリケーション」を変更してください。Launcherにある虫眼鏡の中に「+」が書かれたアイコンを右クリックすることで、最初からカテゴリを絞り込んだ上で検索できます。
インストールしてあるアプリケーションは「インストール済み」に、ソフトウェアセンターからインストールできるアプリケーションは「ダウンロードできるアプリ」に並べられます。一致するものが多い場合は数個ずつしか表示されないので、「さらに?個の結果を見る」をクリックして表示数を増やしてください。カーソルキーやTabキーでフォーカスを移動した上でEenterを入力したり、アイコンをクリックすることでアプリケーションを起動できます。ダウンロードできるアプリの場合はソフトウェアセンターが起動します。なお、この状態からアイコンをドラッグアンドドロップでLauncherに追加することも可能です。
コマンドを指定して実行する
以前のUbuntuと同様、Alt+F2を押すことで、「コマンドを指定して実行」することができます。コマンド履歴も表示されます。
起動したアプリケーションを操作する
同じワークスペースのアプリケーションであれば、以前のUbuntuやWindowsと同じように、Alt+Tabで切り替えられます。異なるワークスペースにあるアプリケーションに切り替えたい場合は、Super+Wですべてのウィンドウリストを表示し、カーソルキーで選択してください。Launcherにあるアイテムを選択することでも切り替えることができます。起動されているアプリケーションは、Launcherアイテム左側の三角形で見分けられます。
一部のアプリケーションでは、Launcherのアイコンを右クリックすることで、特別なメニューがクイックリストに表示されます。例えばゴミ箱であれば、「ゴミ箱を空にする」メニューが表示されますし、スクリーンショット取得アプリケーションであれば「デスクトップ全体のスクリーンショットを取得」といったメニューが表示されます。別ワークスペースにあるアプリケーションを操作したい場合などは、このLauncherメニューをうまく使うと良いでしょう。
Super+Dで、すべてのウィンドウを最小化できます。もう一度入力すれば元に戻せます。
最大化・最小化ボタンの他に、「ウィンドウタイトル部分をダブルクリック」したり、「画面上端へドラッグ」することでウインドウを最大化できます。「パネルを少し下へドラッグ」すると、最大化が解除されます。ウィンドウタイトル部分を画面右端や左端にドラッグすれば、ちょうど画面右半分や左半分を占有するサイズになります。その他にもウィンドウサイズの変更方法が準備されています。詳細はキーボードショートカット一覧を参照してください。
Launcherにアイテムを追加する
よく使うアプリケーションは、Launcherに追加しておくと便利です。起動中のアプリケーションであれば、Launcherにアイテムが表示されていますので、それを右クリックし「ランチャーに常に表示」を選択してください。Dashの検索結果に表示されるアイコンをLauncherにドラッグアンドドロップすることでも追加できます。また、ソフトウェアセンターからアプリケーションを新規インストールする際に、ウィンドウ下部に「ランチャーに追加しますか?」と表示されます。最初から追加するつもりでいるなら、ここで追加するを選択しておくと良いでしょう。逆にLauncherから削除する場合は、アイテムを右クリックして「ランチャーに常に表示」のチェックを外すか、アイテムをゴミ箱へドラッグアンドドロップします。
Launcherの表示順を変えたい場合は、アイテムをクリックしたまま少し待つか、一度Launcherの外側へ移動してアイテムを移動状態にします。その後、そのまま移動したい場所へ持っていってからマウスボタンを離してください。アイテム移動状態にしないと、Launcherがスクロールするだけなので注意してください。
システム設定を行う
以前のUIでは、パネルにある「システム>設定」や「システム>システム管理」から各種設定が行えましたが、これらは画面右上の電源ボタン(セッションメニュー)の「システムの設定」から行うようになりました。なお、Supar+AでApplication Placeを開いた上で"system"と入力して「システムの設定」を選択することでも起動できますし、同じく「テーマ・設定」や「システム」で絞り込めば、個々の設定ツールを直接開くことができます。
キーボードショートカット一覧
Unityのショートカット一覧のページを参照してください。
Unityの設定
Unityの設定画面
ランチャー & メニュー
Launcherを表示する方法は、システム設定の「ランチャー & メニュー」から設定できます。初期設定では、画面の左端にカーソルキーを持ってきたときに表示される設定になっていますが、画面の左上にカーソルを持ってきたときにも変更できます。
デスクトップ効果の詳細設定
より詳細な設定は、デスクトップ効果の詳細設定(CompizConfig 設定マネージャ)を使います。この設定ツールは初期状態だとインストールされていないので、Super+Aから"ccsm"で検索した上で、該当アプリケーションをインストールしてください。その後、設定マネージャを起動して、"Ubuntu Unity Plugin"を選択すると、以下のような項目を設定できます。
- Launcherを非表示する方式
- Launcherを表示するためのキー
- Launcherにキーボードフォーカスをあわせるためのキー
- コマンドを指定して実行するためのキー
- アプリケーションメニューにフォーカスをあわせるためのキー(日本語入力時、F10で半角英数に変換したい場合はこの設定を変更してください)
- Launcherの背景の設定やアニメーション
- パネルの透明度
- Launcherのアイテムのサイズ
ちなみに、Alt+F2から"about:config"と入力すると、Unityの設定を直接開けます。
ワークスペースの数を変える
ワークスペースの数は縦2行、横2列の計4つで設定されています。この設定を変更するには、CompizConfig 設定マネージャを使用します。まず、設定マネージャを起動して「一般オプション」を選択し、デスクトップサイズから水平仮想サイズと垂直仮想サイズを変更してください。
Superキーの変更
Superキーがないキーボードを使っている場合は、別のキーをSuperに割り当てることもできます。システム設定の「キーボード」を起動し、レイアウトタブのオプションを開いてください。例えば、"Caps Lock key behavior"の"Make Caps Lock an additional Super"を選択すれば、CapsLockキーをSuperキーとして使用することができます。