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はじめに

Ubuntu 開発者は、Ubuntu 11.04 "Natty Narwhal"を自信を持ってお届けします。

名称の変更

Ubuntu 11.04の各プロダクトの名称から、"Edition"の文字列が消えることになりました。

これまでのUbuntu Netbook EditionとUbunut Desktop Editionは、"Ubuntu"と呼ばれる一つのエディションにまとめられました。

これまでUbuntu Server Editionと呼ばれていたものは、"Ubuntu Server"という名前に変更になりました。

Ubuntu 11.04 の入手

Ubuntu 10.10 からのアップグレード

デスクトップ版のUbuntu 10.10からアップグレードする場合は、Alt+F2キーを押して表示される「アプリケーションの実行」で "update-manager -d" (二重引用符は入力しません)と入力してEnterキーを押してください。アップデートマネージャが起動し、「Ubuntuの新しいリリース '11.04' が利用可能です」と表示されますので、「アップグレード」ボタンをクリックして、画面の指示に従ってください。

サーバー版のUbuntu 10.10からアップグレードする場合、インストールされていなければupdate-manager-coreパッケージをインストールしてください。次に sudo do-release-upgrade -d コマンドを実行して、画面の指示に従ってください。サーバーアップグレードは現在では充分に安定していますが、予想外の問題が発生した際(接続が切れる問題など)に自動的に再アタッチできるよう、GNU screenなどを利用し、注意して作業を行ってください。

これらの方法は、他のすべてのエディションのUbuntu (Kubuntu、Xubuntuなど)にも当てはまります。

11.04 のダウンロード

11.04 のディスクイメージは、お近くの場所からダウンロードできます:

加えて、以下のリンクにもディスクイメージがあります:

Ubuntu 11.04 の新機能

アップデートされたパッケージ

新しくリリースが行われるたびに、パッケージ(様々なアプリケーションやソフトウェア)は急速なペースでアップデートされます。パッケージの多くはDebianの不安定版から自動的に同期されていますし、それ以外についてもUbuntu 11.04の開発中に手動で取り込んでいます。

Ubuntu 11.04 "Natty Narwhal"に取り込まれた全てのパッケージの一覧は、natty-changes archive(英語)をご覧ください。

Ubuntu 11.04 リリースにてアップデートされた、主要なパッケージは以下のとおりです:

Linux カーネル 2.6.38

Ubuntu 11.04には最新の2.6.38.2mainline kernel(安定版ブランチ)をベースとした、2.6.38-8.42カーネルが含まれています。

これはMaverickにおける、バージョン2.6.35からのメジャーアップデートとなります。アップストリームからのAppArmerの取り込み、Intel IPS(Intelligent Power Sharing)のサポート、Big Kernel Lockの排除、Btrfs、Ext4、XFSなどのファイルシステムの改良といった目玉となる機能・一般的なドライバのアップデート・新しいハードウェアのサポートが含まれています。

gcc 4.5

GNUツールチェインは、i386、amd64、ARM omap/omap4やPowerPCアーキテクチャ向けのgcc 4.5ベースに移行しました。

Python 2.7

全てのmainパッケージはPython 2.7でビルドされ、その環境で使用できるようになりました。

dpkg 1.16.0-pre

multiarchサポートに対応した、コミュニティによるスナップショットからマージされています。これは、Debianの次バージョンで利用されるdpkg 1.16.0リリースになるであろうものをベースに、Linaro Ltd.による支援をうけたRaphael Hertzogによるmultiarch対応を取り込んだものです。

Upstart 0.9

Upstartは0.9.7-1にアップデートされ、"chroot環境でも機能する"ようになりました。基本的なジョブ/イベントの可視化サポート、2つの新しいinitctlコマンド(show-config、check-config)、ソケットブリッジが新しく提供され、最新のD-BusバージョンでもUpstart経由でD-Busサービスが開始できるようになり、さらに、手動実行用のジョブ設定スタンザの記述・ファイルのオーバーライドが利用可能になりました。

Ubuntu

Unity

Unityが、標準のUbuntu Desktopセッションとして採用されました。 Ubuntu 11.04におけるUnity Launcherは多くの新しい機能を持っています。その一部は以下のとおりです:

  • ドラッグアンドドロップによるlauncherアイコンの並べ替え
  • キーボードによるナビゲーションのフルサポート

  • キーボードショートカットによるLauncherの操作
  • 右クリックによるクイックリストの表示
  • 実行中のアプリケーションの切り替え
  • オーバーレイスクロールバー

アプリケーションやファイル向けの完全なLens機能の実装に加えて、検索のような汎用インターフェースとして"Dash"スタート画面(画面の左上にあるUbuntuロゴをクリックしたときに現れます)が準備されています。また、DashからUnity Launcherにアイコンをドラッグアンドドロップすることもできます。

GDMには3種類のセッションがあります:

  • Ubuntu: Unityが起動します。3Dドライバのサポートが必要です。
  • Ubuntu クラシック: GNOMEパネルがあるGNOMEが起動します。これは全てのビデオハードウェアとビデオドライバをサポートします。
  • Ubuntu クラシック (エフェクトなし): GNOMEパネルがあるGNOMEが起動します。2Dモードのみです。

Unityでは、パネルインジケーターが新規に実装・整理されています。これまでの、GNOMEパネルアプレットは今後サポートされません。

X.org と Qt におけるマルチタッチ

Xサーバーに、マルチタッチ入力拡張のプロトタイプ(XInput 2.1)が含まれています。Qtツールキットにも、マルチタッチのプレリリース版のサポートが含まれています。

ネットワークマネージャー

ネットワークマネージャーアプレットは、appindicatorプロトコル互換となっており、Unity環境で利用することができます。また、従来通りgnome-panelアプレットとしても動作します。

Banshee

Banshee 2.0が標準の音楽プレーヤーとなり、サウンドメニューに統合されました。

Ubiquity

コンピューターにUbuntuをインストールする作業を見直し、難しさを排除しました。インストール時のオプション指定によって、結果として何が起こるかを整理し、明確な説明が行われるようになりました。

また、デスクトップCDインストーラーで既存のUbuntu環境を入れ替えたり、アップグレードすることもできます。

Ubuntu One

Ubuntu Oneコントロールパネルでは、ファイルを指定して同期ができるようになりました。注意: Ubuntu Oneミュージック・ストアで購入した音楽はデフォルトでは同期するように選択されていません。

Ubuntu Oneランチャーアイコンが同期中に表示されるようになりました。重要な通知は、OSD通知機能によって表示されます。

同期すべきファイルの探索が改善したおかげで、ファイル同期全体が高速になりました。

ソフトウェア・センター

Ubuntuソフトウェア・センターでは、Ubuntuシングルサインオン・アカウントを持っていれば、インストールしたアプリケーションの"評価とレビュー"が行えるようになりました。

ユーザーは、Gwibberに追加されたソーシャル・ネットワーク・サービスへの統合機能を通じて、レビューを共有することもできます。

Ubuntuソフトウェア・センターはユーザビリティの面でも改善が行われています。(ソフトウェアの購入フローは完全に統合されており、インストール/削除のフィードバックも改善されており、検索結果の代わりの提案も行います) 起動時間のパフォーマンスも、11.04で改善されています。

ARM上のUbuntu Netbook

Ubuntu 11.04においては、Ubuntu Netbookは、OMAP3やOMAP4 armelイメージへのプリインストール向けだけが準備されています。その他のアーキテクチャのUbuntu Netbook Editionは、これまでUbuntuデスクトップエディションと呼ばれていたデスクトップ版のUbuntuにマージされました。

ARMバージョンのUbuntu Netbookには、標準で新しいUnity 2Dインターフェイスが搭載されています。標準インストール後の初期状態ではフリーの3Dドライバーは利用できません。

TI OMAP4アドオンを有効にすることで、イメージに追加された3D SGXドライバーを簡単にインストールできます。

Ubuntu Headless

Ubuntu 11.04 リリースでは、OMAP3ならびにOMAP4ハードウェア向けの"Headless"開発者向けイメージがアップデートされました。

このイメージはシリアルポートでの利用を前提に設定された、最低限のコマンドライン環境を含んでいます。

Ubuntu Server

サーバーの自動導入は cobblermcollective を利用すると、少しだけ簡単に行なえます。

Powernapが2.0にアップデートされました。Powernapは電力消費を減らす新しい方式を採用しており、多くの場合は約14%ほど省エネになるようです。また、ユーザーアクティビティ(コンソール、マウス、キーボード)、システムアクティビティ(負荷、プロセッサ、プロセスIO)、ネットワーアクティビティ(Wake on LAN、TCP/UDPポート)をモニタすることができます。

標準のdhcpdサーバーはdhcp3からisc-dhcp(バージョン4)にアップデートされました。

Eucalyptus は最新安定版のポイントリリース(2.0.2)となり、セキュリティと効率性が修正されています。(dhcpdサーバーに対する既知の問題)

Universe にある、最新スナップショットの2011.2 (Cactus)リリースの OpenStack (nova) はテクノロジープレビュー段階のものです。

libvirtは0.8.8にアップデートされ、新機能の追加とバグフィックスが行われています。(開発元の変更点を参照してください changelog for full information 0.8.3 → 0.8.8)

Ubuntu 11.04を実ハードウェアや仮想環境など多くの状況でインストールしています。プラットフォームサーバーのテストや追加のサーバタスクを歓迎します。

クラウドイメージ

Ubuntu Server cloudには、新しいカーネルが導入されます。詳細はカーネルのセクションを参照してください。

cloud-initは、新機能を含んだ0.60にアップデートされました。この機能には、初回起動時に / のサイズ変更や、最小のOVF transport (iso)や、初回起動時のホスト名の設定のサポートが含まれています。cloud-configならびにcloud-initに、Rightscaleのサポートが追加されています。

Webscaleの技術がパッケージ化され含まれています。(Cassandra 0.7.0、ZeroMQ、Membase、XtraBackup

EC2環境において、t1.microインスタンスはAMD64アーキテクチャでの利用に制限されています。

イメージはOVFフォーマットで提供されており、さらなるテストが必要です。

Kubuntu

Kubuntu 11.04 では、KDE Platform 4.6.2を含んだ最新のKDEソフトウェアをサポートしています。

Kubuntuには、フォルダのプロパティダイアログから共有を追加したり管理することのできる、Sambaファイル共有モジュールが提供されています。

新しい言語選択モジュールでは、システム設定から直接システム言語を追加、削除、管理することができます。

アップデートされたsystem-config-printer-kdeは、Kubuntuのプリンタ管理ツールに対してのいくつかのバグ修正が取り込まれています。

詳細な情報については、以下を参照してください。 https://wiki.kubuntu.org/NattyNarwhal/Beta2/Kubuntu

Xubuntu

Xubuntuは、Ubuntuの標準デスクトップ環境であるGNOMEの代わりにXfceを利用します。Unityがデフォルトになることはないでしょう。

このマイルストーンでは、リリース時に利用されるXubuntu壁紙の更新を行いました。この壁紙は、新しいgraybirdテーマと統一感のあるデザインになっています。

インストール時に表示されるスライドショーをUbuntu 11.04に合わせて更新し、歴代の中で最もよいものとなりました。

このリリースではパネルレイアウトを刷新しました。ランチャーのパネルはスクリーンの下部に隠されます。

アイコンテーマ「Elementary」を更新しました。

小さな容量と見やすさを兼ね備えたDroidフォントを標準フォントとして採用しています。

Xfce 4.8

Xfce 4.8がリリースされ、Ubuntu 11.04に含まれました。Xfceのリリースノートを引用します。

オープンソースのデスクトップであるXfceが、丸二年を費やした最初のメジャー・アップデートとして今週リリースされました。Xfce 4.8はリソース消費の少ない現代的なデスクトップをもたらし、使い勝手の全般的な向上を提供します。また、過去数年において開発された、新たなデスクトップ・フレームワークに基づき、コードの更新に取り組みました。

また、Xfceの開発チームはこうも述べています。

ThunarVFSやHAL with GIO、udev、ConsoleKit、PolicyKitといったコードを切り離すことで、Xfceデスクトップは現代的なディストリビューションと組み合わせて利用できるようになったと考えています。

Xfce 4.8のメニューが、freedesktop.orgの基準を満たしたメニュー・エディターで編集できるようになりました。Xfce環境で推奨されるメニュー・エディターはalacarteです。

Edubuntu

UbuntuのグラフィカルなインストーラーであるUbiquityの実行中に、ユーザーがシステムにインストールされるアプリケーションを調整できるステップを追加しました。

Edubuntu 11.04ではデフォルトでGnomeのクラシック・デスクトップですが、インストールオプションとして、Unityが指定可能です。Unityを選択した場合、3Dと2Dバージョンの両方がインストールされるため、性能の良くないハードウェアでもUnityを体験することができます。

Edubuntuの公式サイトでは、ウェブブラウザでテストを体験することができます。

WebLiveという仕組みが、Ubuntu Software Centerに追加されました。これにより、お使いのコンピュータにインストールすることなしに、最も人気のあるソフトウェアのテストをすることができるようになりました。利用する場合は、使用可能なソフトウェアのスクリーンショット下部にある「Test Drive」ボタンをクリックします。

Arkoseをインストールします。このソフトウェアにより、ダウンロードしたアプリケーションをシステムに影響を与えることなく、隔離して実行することができます。

Pencil、Geogebra、Calibre、LibreCAD、Freemind、Stellariumといった新しいソフトウェアが追加されました。

テーマの更新により、EdubuntuのインストーラーからLTSPをインストールすることで、LDMの新しいテーマを利用することができます。テキスト・モードのブートでは、Ubuntuの代わりにEdubuntuの文字を表示するようになりました。メニューに関しては、ソフトウェアが見つからない場合に適用されるアイコンが新しくされたり、メニューの背景がより調和の取れたものになるなどの改善が進行中です。

最新の情報は、Edubuntu Websiteを参照して下さい。

Ubuntu Studio

インストール時に選択するソフトウェア・セット

Ubuntu Studioは「タスク」として、インストール時にソフトウェアのセットを選択できるようになっています。11.04では、これが新しいものになりました。従来「Audio creation and editing suite」としてひとまとめになっていたものが、「Tone generation and editing suite」と「Audio recording and editing suite」の2つに分かれました。前者はシンセサイザーやシーケンサーといった音作りのためのソフトウェア・セットを、後者はミュージシャンのライブ演奏を録音するためのソフトウェア・セットを、それぞれまとめてインストールします。

カーネル

現在のところ、Ubuntu Studioは-genericカーネルがベースとなっています。Ubuntu Studio開発チームはUbuntu Kernel Teamとともに-lowlatencyカーネルを提供するべく作業をしており、このカーネルが-genericカーネルに代わる選択肢としてリポジトリから提供されるようになるでしょう。-lowlatencyカーネルはそれまでの間、Ubuntu Studioにカーネル開発の面で貢献しているAlessio Igor Bogani氏のPPA、Packages in "Lowlatency & Realtime kernels"からインストールすることが可能です。

何らかの形で-genericカーネルと-lowlatencyカーネルを比較した結果のレポートが可能なら、Natty Benchmarksに対して報告して下さい。

ネットワーク

システムの応答速度を悪化させるおそれがあるため、これまでのリリースではnetwork-managerではなくgnome-network-adminをインストールしてネットワークを設定していました。しかしgnome-network-adminにBug: 570828が報告されたため、今回のリリースではnetwork-managerがインストールされるでしょう。もし既存の環境に比べてパフォーマンスの低下があった場合は、Ubuntu Studio開発者に相談して下さい。メールなら[email protected]、IRCならfreenodeの#ubuntustudio-develとなります。

ソフトウェア・セットに含まれるパッケージ

初期状態でインストールされるソフトウェアの種類が変更になりました。。これは、ユーザの報告によって集められたワークフローに適合するように、必要なソフトウェアだけを選定したためです。ワークフローの報告はまだ受け付けているので、もしお気に入りのパッケージがデフォルトでインストールされるようにしたい場合は、task and work flows wiki pageに追記した上で、先述のUbuntu Studio開発チームに報告して下さい。

Unity

11.04では、Ubuntu StudioはUnityを使いません。ユーザはGnome クラシック デスクトップ(Gnome2)にログインします。

ubuntustudio-controls

Ubuntu Studio開発チームは、11.04用にubuntustudio-controlというソフトウェアをアップデートする予定でしたが、リリースには間に合いませんでした。このソフトウェアは不必要な機能や壊れた機能を持つため、インストールイメージには含まれていません。

Ubuntu Studio開発チームは開発を継続しており、準備が整い次第、Ubuntu 11.04にStable Release Updates (SRU)としてリリースしたいと考えています。

Mythbuntu

データベースと設定ファイルのバックアップとリストアに使われるMythbuntu-bareプラグイン、ならびにMythbuntu コントロールセンタープラグインが、バックアップの予定を日次・週次・月次で設定できるようになりました。

AndroidとiOSをベースとするデバイスを、リモートコントロールに使うことができるようになりました。

MythTV 0.24がビルドに含まれました。

既知の不具合

Ubuntu 11.04における全ての不具合の一覧はUbuntu 11.04のリリースノートを確認してください。

Ubuntuに参加するには

Ubuntuに参加し、貢献したいと思っていただけるなら、数多くの貢献方法について書かれた以下のサイトに訪れてください。

さらなる情報を得るには

Ubuntuに関しては、ウェブサイト日本語)やWiki日本語)でも詳しい情報が得られます。

UbuntuJapaneseWiki: Develop/Natty/TechnicalOverview (last edited 2012-01-10 11:49:20 by anonymous)